海外ニュースで知る世界の流れ

興味のある英文記事を日本語で要約し、「柴田優呼@アカデミックジャーナリズム」でツイート。そのツイートの再録ブログです。英語のニュースを知り、世界の流れをつかむご参考にしていただければ。

アメリカの地方の情報砂漠を救うには

2020年10月10日
パンデミックならぬインフォデミック。
それは危険で扇動的な情報がグローバルに蔓延すること。
例えばトランプはコロナは大したことがないと言い、漂白剤を飲めば治ると言ったりもした。
インドのモディ首相もヨガにはコロナの免疫効果があると発言。
これらをうのみにしたら、死に至る危険がある。
実際、コロナを過小評価したFox Newsの視聴者の間では死亡率が上昇、マスクをすることに共和党が反対したことが7月の感染者急増につながったとの調査結果も。
ファクトチェックや誤報の否定がされるのは、情報が広まった後。
しかも全員に届かない。
そうした中でジャーナリストは難しい立場にある。
ニュースのニーズが高まる一方で、広告収入の減少でメディアの収益もがた落ち。
世界中で数万人のジャーナリストが解雇されている。
米国ではこれまで地方紙18社が合併、20媒体が紙の発行を中止、地方の編集室30か所が閉鎖され、千五百人が解雇された。
解雇されるのはもっぱら非白人の記者だ。
アフリカ、インド、ブラジル、フィリピン、英国でも同様の状況。
Victor Pickard の「Democracy without Journalism? : Confronting the Misinformation Society」はコロナ以前に書かれたにもかかわらず、現状を鋭くえぐっている。
対処法として著者が提唱するのは、メディアの市場原理からの分離。
資本主義の競争原理と放任主義の政治に任せていたら、民主主義的なコミュニケーションは育たない。
視野が狭く、報道分野が限られ、地方のニュースが資金難で伝えられない、エリート支配のシステムをもたらしただけ。
極論ばかり報道するメディアが現れ、公益性より商業利益が優先されることに。
このためPickardが唱えるのは、メディアを支える資金の創設。
特にメディアがなくなりニュース砂漠となった地域での創設。
米国では元々、メディアの集中や政府の助成を忌避する気風が強かった。
だがPickardは、公的支援を受けながら、質が高く独立したジャーナリズムを持つ国々は世界にあると指摘。
ノルウェーやスウェーデン、英独豪加といった国々はその一例だ。
例えば英BBCは、地方議会をカバーする記者に資金援助を行い、カナダはデジタルニュースの購読者に税額控除をしたりしている。
こうしたシステムを特に地方で採用することにより、地方が声を発する機会を作ることができる、との考え。
 
(柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズムがツイート)
 
 
The Nation@thenation
Writ­ten before the pandemic hit, Victor Pickard’s "Democracy Without Journalism?" is all the more relevant in a world trans­formed by Covid-­19.
bit.ly/2I3AUA3

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The Nation
《一言》
インフォデミックの蔓延や、ニュース砂漠となった地方を救うための、かなり大胆な提言。
米国では、弱肉強食が進んだ結果、地方メディアが資金難となり消失。
その結果、地方住民の声を社会に反映する術も消滅。
日本でも、経済衰退や高齢化、少子化と共に、今後顕在化するであろう問題。
他人事ではない。