政府に批判的な中国の中産階級が、米国批判に転じる時

2018年9月12日

中国の中産階級は

過去数か月、

米中関係を含む

中国政府の経済、政治、社会政策に対し、

特にネット上で

批判的な態度を示してきた。

だがこのまま貿易戦争が

進展すると、

批判の矛先は

米国に向く可能性。

中国の株は

1月より24%下落。

中国元も、

トランプが関税をかけると表明した

4月初めから10%下がった。

住宅バブルがはじける不安は

北京、深圳、広州、上海を超えて、

第二第三の都市群に広がっている。

こうした経済危機の経験がないのが

中国の中産階級。

30年前には

存在していなかった階層だが、

今は4億人に拡大。

2022年までに

都市人口の75%が

中産階級になると予想されている。

だが彼らは今、

不安を募らせている。

中国の中産階級は、元々

3つのグループに分かれる。

1、小規模の企業家や

不動産や株の投資家、

外資や合弁企業の従業員。

2、政府の下級職員や

地方の省の幹部。

3、学者や教員ら知識人。

彼らは、実質的には

共産党の支持者で、

反腐敗運動や緑化推進、

迅速な軍備再編を称賛していた。

転機は、

国家主席の任期撤廃。

これで習近平の人気に

陰りが見えた。

企業家らは、

習の国有企業支援に不満。

鄧小平時代に成人した

政府職員は、

任期撤廃で、

以前の激しい権力闘争時代への

逆戻りを恐れている。

知識人は、

政府が2013年から、

立憲民主主義、人権、

市民社会、言論の自由など

7つの議論を国家転覆的として、

統制しているのを批判。

中産階級は最近、

習の行動が

米国のタカ派に

中国封じ込めの口実を与えていると見ている。

P2P融資の規制による

業界破綻、

児童約50万人への

不適正ワクチン接種で、

さらに党批判が高まる。

だが、これでトランプが勝利する

と見るのは早計。

対抗策として

中国政府は、EU、カナダ、日本らと

積極的に経済協力を進めるだろう。

中産階級が加担するかは別にして、

中国には、

米国陰謀説の信者が

多数存在。

ソ連の崩壊と

日本の失われた20年は

米国のせいだと思っている。

米国での反中機運の高まりにも、

中産階級は憮然。

1978年から2014年まで

中国人の研究者や学生

140万人が渡米。

だが米国政府高官は最近、

彼らをスパイ呼ばわり。

中国の渡米経験者は帰国後も、

米国の中産階級の生活様式と

価値観をモデルにして来た。

しかし今や米国に対し、

憧れではなく

絶望を感じている。

中国政府は、

今後の中国社会の趨勢を決めるのは

中産階級だとよく承知している。

だが米国は、

彼らを共産党の指導者と混同、

その重要性がまるでわかっていない。

(柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズムが投稿)

 Foreign Affairs @ForeignAffairs

Although members of China’s middle class have so far faulted Xi’s leadership, a severe escalation in the trade war could result in a sudden shift of blame to the United States. https://trib.al/D6LSsE7