海外ニュースで知る世界の流れ

興味のある英文記事を日本語で要約し、「柴田優呼@アカデミックジャーナリズム」でツイート。そのツイートの再録ブログです。英語のニュースを知り、世界の流れをつかむご参考にしていただければ。

デジタル中国元が、アジアと米中対立にもたらすもの

2021年5月14日
2028年のロス五輪の時、米国がデジタル・ドルを実用化しているかは微妙。
だが中国は来春の北京五輪で、デジタル中国元をデビューさせる計画。
元の国際化は中国の悲願。
米国のように、海外から低金利で借り入れをし、元の供給を制限して競争相手を罰し、財源面で超法規的な特権を享受したいからだ。
IMFによると、米ドルのブロックは世界のGNPの4割相当、中国元ブロックは4割相当。
だが外貨準備の6割、国際貿易の5割、外国為替の取引の9割を支配する米ドルの体系が崩れるには、数十年かかる。
中国は債権市場を外資に開放、政府の管理を弱めて元の需要を喚起。
だが安全な資産と見られるのは困難。
香港を支配し、国内最大のテック企業の成長を抑制する中国の姿勢は、中国元に関しても同様に、市場を支配しようと振る舞うと見られるからだ。
だが米政策担当者は、米ドルの地位に自信を持つあまり、中国元のデジタル化が、アジアでの影響力拡大と中国人民銀行の優位をもたらす事を見落としている。
中国は中国元ブロックを拡大するだけで、近隣国への影響力や中国企業の存在感を獲得し、アジア地域での米国の利益を毀損できる。
デジタル化はブロック内の効率化と利便性を促進するが、中国への債務国にSWIFTではなくデジタル元での支払いを求めると、取引内容はアメリカの眼を逃れることになる。
こうして一帯一路のデジタル版が完成。
欧州中央銀行と違い、中国人民銀行は政府から完全に独立していない。
同行の通貨政策に、アジアの地域経済は左右されることになる。中国元による支配を望む者は多くない。
だが各国の中央銀行の間では、米ドルの力のあまりの強さを抑えたいという気持ちも強い。
 
(柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズムがツイート)
Beijing plans to debut the digital yuan to the world at next year's Winter Olympic Games. ow.ly/fdKN30rHBFU

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