ロシアがクリミアを占領、
中国が一帯一路構想を画した約4年前から、
冷戦の再来がささやかれ始め、
先月も多くの報道の見出しに登場した。
だが安易な類比は知的怠慢の表れ。
プーチンの外交方針は、
冷戦の敗北とその苦渋に由来しており、
ソ連時代の尊厳を取り戻すため、
強い大統領が愛される結果に。
冷戦構造に封じ込められていた中国は、
冷戦後の経済成長で、
もはや駒の一つではなく、
自由に行動可能と思うように。
一方でソ連崩壊の経緯を必死に研究中。
米国はトランプに見られるよう
被害者意識の固まり。
他国は米国を利用してばかりで、
冷戦の勝者なのに得たものは皆無、
自国の利益追求に走る。
現状は多極化であり冷戦ではない。
皆、資本主義を信奉しており、
イデオロギーは重要でない。
思想の廃墟の上に
栄えているのはナショナリズム。
国家は大事でなくなると主張した、
以前の冷戦期の国際主義者は間違っていた。
歴史を政策立案に役立てたいなら、
冷戦との類似だけでなく、違いを見るべき。