人を驚かす派手で大規模なものは何もない。
だが曲がりくねった小道を抜けて拓けた空間に出た時、
出会うのは「自分」または「自分自身の感覚」。
美は対象にはあらず、
具現化されたものにはあらず。
美は「自分」「自分の感覚」の存在に気づかせる、
その力に宿る。
日本を訪れた時感じた「きずな」を感じ続けたい、と
庭園の会員になった28歳のアメリカ人建築家。
一般公開前の朝の静寂の中で
月に一回はスケッチし、
自分との時間を楽しむ。
日本庭園の持つ何百年にもわたる力。
クールジャパン、といった標語など圧倒してしまう、
静かだが揺らぎなく
そこにあり続ける力。
海外での日本庭園の維持は簡単ではない。
何人もの人の地道な努力がそこにかかわっている。
日米友好のためでもあるが、それだけではない。
人々は何か普遍的なものに奉仕している。
その普遍的なものは、国境を超えて
人々の心に働きかけ続ける。
静かに、しかし揺らぎなく。
そのようにして歴史は作られる。