海外ニュースで知る世界の流れ

興味のある英文記事を日本語で要約し、「柴田優呼@アカデミックジャーナリズム」でツイート。そのツイートの再録ブログです。英語のニュースを知り、世界の流れをつかむご参考にしていただければ。

思想

読み切れないほど本を買ってしまう人が、自分を納得させる方法

人生を3度繰り返しても読み切れないほど本を買ってしまう人は、どう自分を正当化すべきか。 ウンベルト・エーコの蔵書は3万冊あった。 もちろん生前、全部読んだ訳ではない。 だがだからこそ、知への好奇心を持ち続けた。 つまり蔵書は無知の証明。 知らない…

エドガー・アラン・ポーに学ぶ政治と科学の関係

エドガー・アラン・ポーは、コレラが猛威をふるった1830年代を生き抜いた。 ダーウィンと同年の1809年生まれ。 当時流行りの科学的思考に憑りつかれていた。 だがポーの慧眼さは、政治の支えなしには科学は力を発揮できない、と見抜いていたこと。 コロナ危…

ジュディス・バトラーの見るパンデミック

2021年4月22日 ジュディス・バトラーの言。 パンデミックの今こそ、世界がグローバルになった事、世界を皆が共有している事を示す時はない。 なのに、多くのリソースが皆の間で平等に共有されておらず、各自が共有しているのは世界のごくわずかな部分である…

自分の考えは、どこまで自分の考えなのか

2021年4月21日 ロシアがクリミアを併合した時、ウクライナの地理的位置をよく知らない人の方が、米国の軍事介入を支持する声が強かった。 十分な知識があるからそう思うのではなく、誰かの考えに依存しているだけの事が多い。 対策は、実践したら何が起きる…

コロナがくれた怠惰な時間と改革のチャンス

2020年5月31日 コロナ危機が教えたこと。 政府は危機に備えておくべきであること。 安全になったらすぐ仕事を再開すべきであること。 誰もがこの2点に同意するだろう。 だが実は、この2つは両立しない。 前者は、ふだん使わないものを余分に備えること、後者…

友情と政治についてのデリダの考察

2020年1月3日 仏哲学者デリダが80年代後半、友情について連続講義し、1994年内容を本にまとめた。 友人と敵、私生活と公的生活、生者と死者、個人と集団を脱構築するもの。 友人にもいろいろ。 真剣な話し相手、浮かれ騒ぎの仲間等。 デリダにとっては例え会…

人間の世界は、理性ではなく感情が支配、と英作家

2019年10月14日 英国のファンタジー作家 フィリップ・プルマン。 ものを書く時、 私は暗闇の中に入って行く。 ストーリーがどうなるか、 登場人物が何を見つけるのか わからない。 その方が ずっと面白い。 もし全てがわかっていたら、 書きながら退屈する。…

議論は事実ではなく感情に基づく、と英哲学者

2019年9月6日 150年前の哲学者 ジョン・スチュアート・ミルの言葉は 今のネット社会にも あてはまる。 議論の多くは事実ではなく、 感情に基づく、ということだ。 だから矛盾を指摘しても、 人々は意見は変えない。 より感情的になって 自説に固執するだけだ…

米作家が語る創作方法

2019年8月13日 米国の作家 ジョージ・ソーンダースの言葉。 高熱になると、 自分が いつもの自分でなくなる。 回復すると 元の自分に戻るが、 自分というものが いかに簡単に失われてしまうか という事に気づく。 最新作では、 そうした記憶と言語の 喪失状…

マルクスを元に、家庭の廃止を唱える考えが再登場

2019年5月16日 マルクスとエンゲルスは、 家父長制と資本主義により 労働者は疎外され、 女性は産む道具になるとして、 家庭の廃止を 唱えた。 長らく忘れられていた この考えを、 フェミニズムの立場から 再考する研究者が登場。 今の核家族制度では、 閉鎖…

幸福感と満足感は相反すると心理学者

2019年4月14日 幸福は 瞬間的に感じるもの。 だが満足は、 時間をかけて目標を達成し 得られるもの。 つまり二律背反の関係、と 2002年ノーベル経済学賞受賞の 認知心理学者。 幸福を得ようとすると 満足は得られず、 満足を得ようとすると 幸福は得られない…

社会主義が再び流行中

2019年3月3日 社会主義が再び 流行り始めている。 オカシオコルテス米下院議員は 「民主主義的社会主義者」と自称。 左翼は不平等、環境問題、 市民の復権に焦点。 愛国主義とノスタルジーに 後退する右翼に比べると、 確かに今の西側社会の 問題点を突いて…

先進国でノスタルジアと悲観主義が蔓延

2018年12月18日 先進国では今、 ノスタルジアと悲観主義が蔓延。 背後にあるのは、 没落したという感覚で、 政策を動かす原動力に。 過去に頼ることで、 自らを元気づけ自負心を高める。 自らの力を取り戻そうという動きが増し、 排外主義と重なる事態も。 …

マルクスは秀逸なライターであり、宗教的予言者

2018年12月2日 マルクスの蹉跌。 1、ファシズムと福祉国家の 登場を予期しなかった。 2、マルキスト体制下の人民は、 飢餓や収容所生活、 党による専制政治を 経験することに。 だが生誕2百年を 経た今も、 その思想には 不朽の価値がある。 経済がもたらす…

なぜ世界的に中道左派が退潮するのか

2018年9月13日 なぜ世界的に 中道左派が退潮するのか。 世界経済の 構造変化が関係。 90年代以降、 途上国では 中産階級が増加したが、 先進国では縮小。 先進国の中産階級は、 中国などの新興国や移民を恐れ、 ポピュリズムが力を得る。 人種や民族、性、宗…

トランプ登場は、何も決められない政治の帰結

2018年9月10日 トランプが登場した理由は、 何も決められない 政治にある。 課題を解決するより、 先延ばしにする。 そして政治を 劇場化する。 トランプ以前から ずっと続いていた話。 例えば、既に1兆ドル に達した財政赤字。 本当に解消したいなら、 税金…

米国は、あるがままの世界を受け入れる抑制的な政策を取るべき、との論

2018年9月8日 新リアリズムが 流行っている。 米国は、 欧州とアジアには コミットしても、 中東からは手を引き、 現状をあるがままに 受け止める 抑制的な政策を 取るべき、との考え方。 問題は、何十年も リベラル民主主義の中にいた結果、 もはや、あるが…

孤独は退屈ではなく、退屈は刺激的な時

2018年8月14日 人間は考える葦である、と言った 哲学者兼数学者の パスカルが 39歳で他界する前に 残した言葉。 「全ての問題は、 私たちが一人で部屋に 静かにいられない事に起因」。 簡単に世界と つながることができる今、 孤独であることは 退屈に直結。…

アイデンティティ・ポリティクス攻撃の大学教授の話を、人々が求める現実

2018年8月9日 トロント大の心理学の教授 ジョーダン・ピーターソンが アイデンティティ・ポリティクスを 攻撃する講義を YouTubeに投稿。 元々ヒラリーに投票したような 大学生が それを熱心に聞く、 という構図が生まれている。 ピーターソンは 自己啓発本…

途上国で起きた社会変化が、アメリカで起きる時代

2018年7月25日 アメリカなど西側で 今起きているのは、 合理的思考に基づく テクノ官僚による支配の敗北。 代わりに台頭しているのは、 これまで管理されてきた民衆。 非理性的で、 意志を持ってやればできる、 との幻想に、 突き動かされている。 イラン革…

ホロコーストの集合記憶を作った映画「ショア」の監督が他界

2018年7月6日 ホロコーストを描いた 衝撃的な映画「ショア」(1985) を作った クロード・ランズマン監督が 92歳で死去。 映画は70年代に ポーランドで撮影。 バックミュージックも、 記録映像も使わず、 ただ荒涼とした風景を映し、 延々と記憶を語った。 描…

朝日新聞・核と平和取材班への返信

朝日新聞・核と平和取材班‏認証済みアカウント @asahi_peace 2月3日 劣化する世界。非核攻撃への反撃に核使用も 米政権、核戦略見直し発表:朝日新聞デジタル ワシントン=杉山正 2018年2月3日05時23分 トランプ米政権は2日、今後5~10年の核政策の指針…

ウォーレン民主党上院議員とトランプ大統領への返信

Elizabeth Warren‏認証済みアカウント @SenWarren 2月2日 .@realDonaldTrump just released his new nuclear strategy, which calls for more nuclear weapons that are easier to use. This flies in the face of decades of American leadership in buildi…

原民喜『鎮魂歌』抜粋その2

2018年2月3日 原民喜『鎮魂歌』抜粋その2。 僕の足。突然頭上に暗黒が滑り墜ちた瞬間、僕の足はよろめきながら、僕を支へてくれた。 僕の足。僕の足。僕のこの足。 恐しい日々だつた。滅茶苦茶の時だつた。 僕の足は火の上を走り廻つた。水際を走りまわつた…

広島の被爆体験を描いた原民喜『鎮魂歌』抜粋

2018年2月3日 原民喜『鎮魂歌』抜粋。 さうだ、僕は今漸くわかりかけて来た。 僕がいつ頃から眠れなくなつたのか、 何年間僕が眠らないでゐるのか。… あの頃から僕は人間の声の何ごともない音色のなかにも、 ふと断末魔の音色がきこえた。 面白さうに笑ひあ…

6割のアメリカ人が無条件に神を信仰

2017年12月28日 あなたの神への信仰は揺らぎないか。 アメリカ人百人のうち63人が無条件に同意、 20人がほぼそうだとの答。 36人が週一回以上教会に行き、 53人が宗教はとても大事だと考える。 55人が天国と地獄は実在すると信じている。 2014年のデータ。 …

少数者とは誰か

2017年12月12日 今日において、少数者とは誰か。 既存の古い体制下で想定された少数者は、 「正常で健全」な権力の好む「少数者」でしかない。 日本で急激に進む貧困化と高齢化。 ライフプロセスの中で誰もが少数者になる可能性がある時代。 しかしそれには…

日本は6割が、50年前より今を肯定

2017年12月5日 あなたの国では、50年前と比べて、今の方がいい暮らしになったか。 日本は60%が同意、 世界の中では最も肯定的なグループに入っている。 一方、今の経済が好調と思っている人は40%、中間ぐらい。 日本人の多くは、 自分たちの社会はよくなって…

分析の道具と歴史家の役割

2017年12月5日 私たちは、人々に分析の道具を与えているか。 歴史家の役割を果たしているか。 前者は、私たちが現実とどう斬り結ぶべきか、 その筋道を示すこと。 後者は、現実を長い歴史的スパンの中に置き、 俯瞰的な視座を提供すること。 問題は現実をど…

討論とは何 ? 対話の反義語ではない

『学び合い』‏ @manabiai 2017年12月2日 討論と対話の違い。わかりやすい。 ↑ 上記のツイッターに返信しました。 柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズム‏ @yuko_shibata_ 返信先: @manabiaiさん 2017年12月3日 この「対話」で達成できることは 「討論」また…